やけど(熱傷)
やけどは、高温による皮膚の障害であり、誰もが一度は経験するほど頻度の高い外傷の一つです。高い温度の物質が皮膚に一定時間以上接するとやけどとなります。最近では「低温熱傷」といって、ホットカーペットや湯たんぽなどのそれほど高い温度でないものでもやけどになる方が非常に増えています。
症状
- 発赤
- 水ぶくれ
- 痛み
やけどの深さ・範囲・部位・年齢によって重症度が異なり、やけどが皮膚の深いところまで達しているほど、また、範囲が広いほど、重症となります。乳幼児や高齢者は皮膚が薄いため、重症になりやすくなります。
熱傷の深さによって、以下のように、Ⅰ度・Ⅱ度・Ⅲ度の熱傷に分類されます。
I度熱傷 (表皮熱傷) |
表皮のみの障害です。痛みを伴う発赤、脹れがあります。 治療は軟膏治療が主で、ほとんど瘢(きず)をのこさず治ります。 |
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II度熱傷 (真皮熱傷) |
表皮の下にある真皮までの障害です。痛みを伴う発赤と水ぶくれが見られます。主に軟膏で治療しますが、治癒までに2~3週間程度かかります。真皮の深いところまで障害されると、瘢がのこることがあります。 |
III度熱傷 (皮下熱傷) |
皮下組織まで障害され、灰白色や黒いかさぶたの様な所見となります。痛みを感じません。治療は手術(植皮)が必要です。 |
原因
通常熱傷
熱湯や高温の油など、熱いものに触れて起こるやけど
低温熱傷
湯たんぽやホットカーペット、携帯カイロなどの45℃以下のものに長時間触れることによるやけど
化学熱傷
酸やアルカリといった強い化学薬品によって起こるやけど
放射線熱傷
放射線を浴びること(日焼け)によるやけど
電気熱傷
電流によるやけど
治療方法
やけどは受傷直後の初期治療が大切です。
炎症、腫れ、痛みを取るために、衣服の上から流水で30分以上冷却し、その後早急に皮膚科や形成外科を受診してください。やけどが広範囲にわたる場合(体表面積の10%以上)は全身管理が必要となりますので、救急病院を受診してください。
低温熱傷は、最初は赤みがある程度で軽症に見えても後から症状が重くなり、痛みも増してくることが多いので注意が必要です。 早めに治療を受けましょう。
また、自己判断で消毒薬や軟膏などをつけてしまうとその後の診断の妨げとなることもありますので、医師の診察治療を受けるまでは、消毒薬や軟膏など一切つけないようにしてください。
当院では、症状、部位などの状況に応じて外用療法と湿潤療法(各種被覆材で密閉する治療法)とを使い分けております。